見たもの

見たものを記録しておかないと忘れそうなので適当に書いていきます。

ネタバレ配慮とかは特にないです。

なにか見たら適当に追加していきます。

 

小説

 

新世界より 貴志祐介 講談社

こういう和風因習オープンワールドあったら面白いのかもしれない。

上巻の序盤でSF大トロ味わって残りはステルス探索ゲーの実況動画。

 

・○○○○○○○○○殺人事件 早坂吝 講談社

「どうして登場人物は真相に気づけないのか」から推測を広げてしょうもなさすぎる大オチにつながっている論理パズルみたいな構造が巧み。

叙述トリックモノを叙述トリックと明かさずに宣伝バリュー付与するためにタイトルで目を引く発想は小賢しく冴えてるけど、タイトル当て自体はあってもなくても内容になんら関わらないオマケ要素なのでさもこれが主題のように売るのは本当に小賢しいミステリ。

 

・虹の歯ブラシ 早坂吝 講談社

実際作者がどう感じているのかはともかく、とにかく自作の中で自作を楽しそうに語るのが元気で良いと思う。

 

・誰も僕を裁けない 早坂吝 講談社

「っぽさ」のエミュレートが上手い。作者本人がめちゃくちゃ自慢してるだけあって、社会派部分のテーマがトリックの大ネタに直結している辺りに無駄のない完成度がある。

 

容疑者Xの献身 東野圭吾 文藝春秋

東野圭吾ってほとんど読んだことなかったけどこんなオタクのpixivSSみたいなの書く人だったんだ…。オタクのpixivSSが容疑者Xの献身の幻影を追ってるんだろ。

本当にどうでもいいこととして石神がキレの良すぎる天才数学者である一方ずんぐりむっくりした冴えない非モテ中年として描かれてるのは作劇上かなり収まりが良いけど、そこに柔道部顧問の強フィジカル設定を足すことでキャラビルドが謎の二方向へツリー伸ばしていて笑う。

 

・手紙 東野圭吾 文藝春秋

容疑者Xの献身が面白かったので「東野圭吾 名作 おすすめ」でググって読んだ。この作品自体がどうこうというかこれを読んだ感想側に色々なものが散りばめられていて奥深いなあとなる。作者本人がこの作品挙げながら犯罪加害者の家族は立場をわきまえるべきみたいに語った記事があるとかいう噂をちらっと目にしたけど検証する勇気が未だに湧かない。

 

・正欲 朝井リョウ 新潮社

知人からプレゼントされた作品を年単位で放置していたため読んでみたら面白くてビビった。本当に申し訳ありませんでした。

タワマン文学と闇のインターネットの掛け合せ(同語反復では?)だけど朝井リョウはインターネットの拾い方や作劇への組み込み方が本当に上手い。

めちゃくちゃTwitter向けの作品(ていうかネット文化触れずにこれ読んでも内容分からなくない?)だけど朝井リョウ本人はTwitter文化とか全然好きじゃなさそう。

 

・君の地球が平らでありますように 斜線堂有紀 集英社

全編恋の話、というか社会カーストマウントバトルが静かに横たわっているインターネット(広義)の話なのだけど人間の弱い部分の描き方が丁寧で口当たりまろやかなので気持ちよく読める。登場人物のランク帯もはてなTwitterで共感しやすい辺りに調整されているのでおすすめです。女女もあるし。

 

みるならなるみ/シラナイカナコ 泉サリ

 

やがて君になる 佐伯沙弥香について 入間人間

 

葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午

 

告白 湊かなえ 集英社

 

ファミリーランド 澤村伊智

 

ボトルネック 米澤穂信

 

ユートロニカのこちら側 小川哲 早川書房

 

少女帝国 矢部嵩 早川書房

 

medium 霊媒探偵城塚翡翠  相沢沙呼

 

テスカトリポカ 佐藤求

 

虐殺器官 伊藤計劃

 

首無の如き祟るもの 三津田信三

 

AI法定のハッカー弁護士 竹田人造

 

感応グラン=ギニョル 空木春宵

 

骨灰 冲方丁

 

私が大好きな小説家を殺すまで  斜線堂有紀

 

火の中の竜 ネットコンサルタント「さらまんどら」の炎上事件簿 汀こるもの

 

ちぎれた鎖と光の切れ端 荒木 あかね

 

回樹 斜線堂 有紀

 

七十四秒の旋律と孤独 久永 実木彦

 

火蛾 古泉 迦十

 

るん(笑) 酉島 伝法

 

方舟 夕木 春央

 

黒い仏 殊能 将之

 

エレファントヘッド 白井 智之

 

 

 

 

異修羅 I~V 珪素

 

漫画

 

・ぼっち・ざ・ろっく はまじあき 芳文社

日常系4コマ(さほど日常系漫画か?)としてエピソードが散りばめられている原作に1クール単位のまとまりや各エピソードごとの縦軸をしっかり再構成したアニメ版は「原作をアニメ化すること」がただ原作の台詞を順に並べるだけではないのだと深く染み渡る。

この漫画のとても偉い所は結束バンド4人に「こいつのエピソードは別にどうでもいいかな…」となる奴が一人もいないことだと思う。日常系漫画はキャラ自体に興味が持てないと本当に読む楽しさがないため。

キャラへの興味なんて個人の好みの問題じゃんと言われたらそれまでだけど、この作品の場合主人公をしっかり中心に置き、メインキャラがみんな主人公との個別の繋がりを持っていることが主人公目線で物語を追いながら全体的に愛着が広がりやすくなっていると感じる。

作者のはまじ先生は序盤が特に後藤ひとりをオチに使いすぎて4コマ漫画として他キャラが印象に残る作りになっていなかったと反省していた(ここからアニメ版はオチ要因やキャラ描写をバランスよく割り振り直した)けど、バランスはともかく明確に主人公を置く作りは作品に視点を持たせることでかえって他キャラも掴みやすくなる所はあるかもしれない。主人公を好きになることで主人公に好意的だったり面白い絡み方をする奴も連鎖的に好きになれるのか?

最初からサブCP複数組まれたり網目みたいに人間関係が広がってて主人公はその一人、みたいな作品もそれはそれで好きだけど「この辺の組み合わせは別に興味ないな…」になりがちなんだよなあ。

こうして考えてみると店長が後藤ひとりにべた惚れしている(正直作劇上の脈絡や必然性は薄い)設定も「バンドメンバーの姉」といういまいち接点の薄いメインキャラへ強引に主人公への矢印をもたらすロジカルな構造と言える……?

別に主人公以外の関係が薄いかと言えばそうでもなく、虹リョウは作中で一番強火の黄金幼馴染生涯一心同体永遠約束をやっているし、属性配置だけ見ると一番遠くなりそうなリョウ喜多を憧れ要素で上手く繋いだりしていて、虹喜多は会話量が多い(後藤と山田がロクに喋らないため)

作品自体の感想とは特に関係ないけど今思いついたから今書くと、あらゆるエンタメフィクションにおいて「キャラに関心を持てること」はとりわけ重要で、キャラへの愛着に特化することで日常の些細な一喜一憂ですら読者の脳を刺激できる作りにしているのが美少女日常系の強みなんだなあと感じる。

ストーリーやキャラの情動が激しく展開しているのにキャラへの愛着がないから別にどうなろうとさほど……という体験は割とよくあるので、中身が無いとか揶揄されがちな日常系キャラ描写の中にこそエンタメの"核"が潜んでいるかもしれない。

 

・またぞろ。 幌田 芳文社 (2巻まで)

オタクが与太で言い出しがちな発達障害者の美少女日常系(作中で明言してないけどそういう漫画でいいよね?)を真面目にやってる印象。

諸々の美少女日常カルチャーがおっさんの趣味やオタクの生活に美少女アバターを被せているとか揶揄されがちだけど、「同情されないタイプの人間の擬人化」はある種その極地なのか?

エンタメの作劇は「駄目な奴が駄目なままでいること」は難しい(欠点を個性として受け入れるにしても周りにとって何かしらプラスの存在でないとキャラとしてヘイト要因以外になりにくいし、主役に置くならなおさら成長や勝利が作劇上求められる)が、美少女日常系というスタイルはキャラの可愛さで楽しい絵面を守れればこの辺の制約が緩まるので主人公の頑張れなさ・成長しなさを愛することが出来る作りになっているかもしれない。(現状2巻しか出てないのでここからの作劇が同様かは分からない)

麻里矢が殊をしっかりさせようとつきっきりでコントロールする流れはグロテスクなのだけど、麻里矢をはっきり悪役ともいい子とも描かず、日常4コマ漫画という媒体が心情や所作の描写の解像度を高めすぎないことで読み方に一つの正解が生まれず色々な受け取り方が生じている気がする。(この辺は日常エッセイでも起きがちな現象かもしれない)

 

ダーウィン事変 うめざわしゅん 講談社 (4巻まで)

サスペンス漫画としては様子見としてヴィーガン漫画やるにあたってかなり防御力固めてきてるな…に概ね尽きる。題材が題材だし人気爆発したらインターネットバトル白熱するのか?と思うも割とカッチカチだから殴り合いしづらそうでもある。

 

インターネット

 

・インスタにネイル写真をアップしたら最強にめんどくさいことになった ぱん田ぱん太

pandapantade.blog.jp

劇場版ケチママスカッと成敗。

ヤバすぎるケチママでヘイトを溜めてから過去へ過去へと因縁を遡り呪いを解き明かして爽やかに終わる流れは素直に熱い。

特に上手いのは、人情回想エピソードから主人公視点に戻った時の「いやなんか同情しつつあったけど主人公からしたらただのド級迷惑女だし成敗しなきゃだろ」と読者が我に返ったタイミングで謎の自殺を挟むことで、「いやさすがにそこまで悲惨にならなくても…」と主人公とシンクロさせて生きていた彼女へ純粋な幸福への祈りを抱かせやすくする剛腕展開。読者が同情に傾いたタイミングで「ヤバすぎるケチママを突き落としてざまぁしたい」という最初の読み手の心情をSNSの闇として斬り捨てるので、ケチママだけでなく読んでいる方まで呪いが解き明かされていくみたいな構造になっているのは何?

「このエッセイはケチママを肯定している」とか殴られにくくするよう人情回想中も毒舌ツッコミキャラを視点に置き、ついでにツッコミマンに若干のヘイトを抱かせることでケチママの風除けにしつつ最後にツッコミの株を爆上げするのでバランスを取りつつめちゃくちゃ爽やかな風の吹いて終わるケチママ成敗エッセイになっている。

それはそうとこの漫画のエッセイ成分は犬のかがやき先生とほぼ同じだと思う。